こんにちは。転職経験 4回のしゅうです。
「病院への転職を考えているけど、本当に大丈夫?」と不安に感じていませんか?
2024年現在、病院経営の悪化が進み、赤字の病院が過半数を占めているという現実があります。
医療機関に勤める私自身の経験からも、病院への転職には慎重な判断が求められると感じています。
本記事では、病院への転職をおすすめしない理由や考えられるリスク、さらに経営が安定している病院を見極める方法を詳しく解説します。
この記事を読むことで、病院への転職に対する不安や疑問が解消され、自分に合ったキャリア選択ができるようになるはずです。
病院への転職を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
病院への転職をおすすめしない最大の理由とは?
病院への転職をおすすめしない最大の理由は、病院経営の悪化です。
最新の「病院経営定期調査」によると、赤字病院の割合は2023年6月期の56.6%から2024年6月期には63.8%に増加しています。
病院の本業からの利益である医業利益でみると、赤字の割合は2023年6月期の67.2%から2024年6月期には71.7%に増加しています。
つまり、10病院のうち7病院は赤字という非常に厳しい状況です。
出典)日本病院会 「2024年度 病院経営定期調査 概要版」
さらに、物価高騰に対する価格転嫁が難しく、診療報酬のマイナス改定が続く中、病院の収入は頭打ち状態です。
このような背景から、転職後に経営悪化や倒産リスク、給与や賞与の低下といった問題に直面する可能性が高いのです。
病院で働くやりがいは確かにありますが、経営基盤が不安定な職場では、将来への不安がつきまといます。
そのため、病院への転職を検討する際には、経営状況を十分に調査し、慎重な判断をすることが求められます。
病院の経営状態を見極めないと、転職後に後悔するリスクが高まります!
病院経営が悪化している背景とその影響
病院経営が悪化している背景を理解することで、転職時のリスクを見極める助けになります。
物価上昇や診療報酬のマイナス改定、患者数の減少など、医療機関が直面している課題を解説します。
物価高騰と価格転嫁の難しさ
病院の収益である診療報酬は全国一律に設定されており、物価高騰分を価格に転嫁することができません。
一方で、医療機器の値上げや建設費の高騰が続き、経費が増加する一方です。
診療報酬のマイナス改定
診療報酬は2年に1度改定されますが、2024年度も全体で-0.12%とマイナスに留まりました。
このため、病院の収益は大幅に増える見込みがありません。
新型コロナウイルス後の影響
コロナ禍で提供されていた病床確保料などの補助金が2024年3月末で終了しました。
加えて、患者数が2019年に比べ約7%減少しており、病院の収入減少に拍車をかけています。
これらの要因が重なり、2024年の病院倒産件数は過去最多ペースで推移しています。
この状況を知らずに転職してしまうと、経営が不安定な環境で働くリスクを負うことになるのです。
病院経営の現状を知らずに転職すると、リスクを見過ごしてしまう可能性があります!
病院への転職で考えられるリスクを整理しよう
現時点での病院への転職には多くのリスクが伴います。
その代表的な例を挙げてみましょう。
経営がさらに悪化するリスク
赤字経営の病院では、経営状態が改善しない限り、さらなる悪化も考えられます。
特に収益が伸びない状況が続くと、給与カットやボーナスの減額、人員削減といった厳しい措置が取られる可能性も高まります。
経営悪化によって労働環境が悪化し、業務の負担が増えることで、メンタル面や体力面にも影響を及ぼしかねません。
倒産のリスク
帝国データバンクのレポートによると、2024年は医療機関の倒産が過去最多ペースで進んでいます。
特に中小規模の病院は財務基盤が脆弱なため、倒産リスクが高い状況です。
出典)帝国データバンク 「医療機関」倒産動向
転職先の病院が倒産してしまった場合、次の転職先を急いで見つけなければならないため、キャリアに空白期間ができる可能性もあります。
経済的にも精神的にも不安定な状況に陥りやすいことが大きなデメリットです。
低い給与や賞与
病院経営が悪化している場合、年収アップが見込めないだけでなく、賞与が減額されるケースも少なくありません。
他業界では賃上げが進んでいる中、医療業界だけが取り残されることも考えられます。
また、物価上昇の影響で生活コストが増加しているため、低い給与水準では将来設計が難しくなる可能性も高いでしょう。
老朽化した職場環境
経営が苦しい病院では、新しい医療機器や施設への投資が難しくなり、老朽化した職場環境で働かなければならないことがあります。
例えば、空調設備が不十分で夏は暑く冬は寒い、医療機器が古く故障しやすい、といった問題が生じることもあります。
患者さんの安全に直結する設備が不十分な場合、働く側も大きなストレスを感じるでしょう。
転職後のリスクは慎重にチェック。後悔しない選択を!
経営状態が良い病院を見分ける方法
病院への転職を検討するなら、まず経営状態を確認しましょう。
以下のポイントを参考にしてください。
経営指標の確認
病院の経営状態を客観的に把握するためには、信頼できる経営指標を参考にしましょう。
例えば、日本病院会の「病院経営定期調査」や福祉医療機構が発表する経営指標が役立ちます。
これらの資料には、病院の財務状況や赤字・黒字の割合が詳しく記載されています。
転職先の病院の財務健全性を確認することで、安心して働ける職場を見極める第一歩となります。
応募先の病院が公開している財務情報や業績報告書をチェックすることも忘れないでください。
経営方針の明確さ
経営方針が明確な病院は、たとえ赤字経営であっても改善の余地が見込めます。
特に、経営陣のビジョンや戦略がしっかりしている病院は、長期的な成長が期待できるため、安定した職場環境を提供してくれる可能性があります。
理事会の公開資料や病院の公式ウェブサイトから経営方針や将来計画を確認しましょう。
経営陣の姿勢が明確であれば、職員へのサポートも手厚いことが多いです。
設備投資の有無
医療機器の導入や建物の改修といった設備投資を積極的に行っている病院は、経営基盤が比較的安定しているといえます。
最新の医療機器を取り入れている病院は、患者からの信頼も得やすく、収益性が高い場合が多いです。
病院の最新ニュースやプレスリリースを調べ、設備投資に関する情報を確認しましょう。
特に大型の建設プロジェクトが進行している場合は、病院の成長性を示す一つの指標となります。
求人情報や口コミをチェック
求人情報には、病院の特色や待遇についての重要なヒントが隠されています。
また、転職サイトや口コミサイトを活用すると、内部情報や実際に働いているスタッフの声を知ることができます。
特に職員が感じている職場環境や待遇の満足度は、重要な判断材料です。
口コミを確認する際は、複数の情報源を照らし合わせることが大切です。
一つの意見だけに偏らず、多角的に職場環境を分析しましょう。
病院見学の活用
最後に、実際に病院を訪問して雰囲気や設備の状態を直接確認することも重要です。
病院見学は、求人情報や口コミでは得られない、現場のリアルな状況を知るための貴重な機会です。
見学時には、職員の表情や働き方、患者への対応の様子を観察しましょう。
生き生きと働く従業員が多い病院は、職場環境が良好である可能性が高いです。
施設の清潔さや設備の新しさも確認することで、より安心して転職先を選べます。
経営安定のカギは情報収集。信頼できる病院を選びましょう!
まとめ|病院への転職を検討する際に押さえるポイント
病院で働くことは、人の命を守り、患者さんやご家族の精神的な支えになるという、他の職場では得られない大きなやりがいがあります。
その一方で、病院の経営状態が悪化している場合、日々の業務に不安やストレスを感じることも少なくありません。
転職を成功させるためには、病院の現状を理解し、慎重に検討することが重要です。
以下に、病院への転職を検討する際に押さえておくべきポイントを整理しました。
病院の経営状況を必ず確認する
病院の経営状態は、職場環境や待遇に直結します。
赤字病院の割合が増加している現状では、財務状況を調査することが欠かせません。
「日本病院会」や「福祉医療機構」が公表している経営調査報告や経営指標を参考に、転職先候補の病院がどのような状態にあるか確認しましょう。
特に、長期的な財務安定性を見極めることが大切です。
目先の待遇だけで判断しない
給与や賞与などの条件だけで転職先を決めるのは危険です。
短期的には魅力的に見えても、経営の不安定さが将来のキャリアに影響を与える可能性があります。
例えば、賞与が低下したり、職場環境が悪化したりすることが考えられます。
待遇とともに、病院のビジョンや経営方針もチェックしましょう。
自分のキャリアプランと照らし合わせる
病院での仕事は、やりがいが大きい一方で、精神的・体力的な負担も伴います。
転職を考える際には、自分のキャリアプランやライフスタイルに合っているかを再確認しましょう。
将来的に医療以外のキャリアを検討している場合や、他の業界への転職も視野に入れることをおすすめします。
職場見学で現場の雰囲気を知る
求人票や口コミだけでは、実際の職場の雰囲気や働きやすさは分かりません。
転職先候補の病院で職場見学を行い、設備の整備状況やスタッフの雰囲気をチェックしてください。
経営がしっかりしている病院では、スタッフが生き生きと働いている様子が見られるはずです。
経営が安定した病院を見極める
全ての病院が経営難というわけではありません。
しっかりと経営方針を持ち、安定した収益を確保している病院もあります。
転職を検討する際は、その病院が持続可能な経営を行っているかどうかを見極めることが成功の鍵です。
病院で働くことは、社会的な意義ややりがいを感じられる素晴らしい経験です。
しかし、その一方で、病院の経営状態が悪い場合、安心して働くことが難しくなるリスクもあります。
この記事でお伝えしたポイントを参考に、病院への転職を慎重に検討し、自分に合った職場を見つけてください。
やりがいは大きいけれど、安定した職場選びが転職成功のカギ。経営状況を見極め、自分に合った環境を選びましょう!